日本文化学科の授業紹介

日本文化学科で行われている授業の一例を紹介します。

問いから紐解く心理学

澤田 匡人 准教授
もしも、あなたが「心理学を学べば、他人の心が読めるようになる」と考えているなら、それは誰もが魔法使いになれると信じるに等しい誤解です。心理学は、あくまで行動を扱う科学の一領域に過ぎません。しかし、何も知らなければ、そんな淡い期待を寄せてしまう気持ちもわかります。

日本文化学科で心理学を学ぶ機会を提供している授業には、「日本文化基礎演習Q」や「日本文化演習R」などがあります。たとえば、私が担当している「日本文化基礎演習Q」は、「ピグマリオン効果」や「ハロー効果」といった心理学用語に触れた記事を目にすることから始まります。普段なら読み流してしまうような文章に改めて目を通してみて、「どうしてこんなことが言えるのか?」「この説明は正確なのだろうか?」といった具合に、少しでも疑問を抱けたのであればしめたものです。

というのも、この基礎演習では、与えられた情報を鵜呑みにせずに、その源を見つけ出すことが求められるからです。芋づる式に複数の文献に当たらないとお目当ての情報源にたどり着けない場合もあれば、難なく探し当てられる場合もあります。続いて、見つけた情報源(=論文)の中身を確認していくことになりますが、そもそも論文の体裁がわからなかったり、そこに記載されている結果を読むための統計的な知識もほとんどなかったりするわけですから、いくつもの壁にぶち当たることでしょう。最後に、特定の心理学用語について、論文の内容に基づき発表してもらうのですが、どのような順序で、どのような言葉を選べば他の人にわかりやすく伝えられるかも問われるのです。

受講前に抱いていた期待とは裏腹に、骨の折れる作業の連続かもしれませんが、この授業を通じて、魅力的な心理学の世界に足を踏み入れてもらえればと願っています。

日本人論Ⅱ

木村 直恵 准教授
家族を作るということ、家族の中で生きるということ。これは人類にとって当たり前のことで、太古の昔から現在までどこでも変わらないと思われるかもしれません。しかし人々が実際にどのような家族の中で生きてきたか、何を家族だと思っていたのか、そして家族とはどうあるべきと考えていたかということは、時代により、地域により大きく変化してきました。日本の歴史を振り返ってもそうです。近代150年の間にも、家族のあり方は大きく変化してきました。それは家族をめぐる状況の変化でもあり、また家族についての理想の変化でもありました。
この授業では近代日本の家族の実態と理想と社会条件の変化を、さまざまな史料とともに振り返ります。家族の歴史には、その時代を生きた人々の喜びや苦しみや理想や挫折の経験や感情が織り込まれています。近代日本の小説や演劇、美術作品も、それぞれの時代の家族のあり方を踏まえることで見え方が大きく変わってくることでしょう。そして過去の人々の家族生活をめぐるさまざまな実験や失敗は、私たち自身のこれまでの経験やこれからの人生を考えるための糧ともなります。家族の歴史を学ぶことをつうじて、歴史研究が生きるうえでの知恵となることを体感できることでしょう。

日本語学Ⅲ

佐藤 琢三 教授
この授業は、われわれの日常生活の中で見聞きすることばに関わる不思議な諸事象と、最新の言語学、日本語学の研究成果を有機的に結びつけるための試みです。
「あら、 よろしくつてよ」がお嬢様のことばであることは、 日本文化の中で育った者であれば誰でも理解できます。 しかし、 同時に、 現実の世界で実際にこのような言葉遣いをする者はまずいないことも、 われわれはよく知っています。絵本、 アニメなどのバーチャルリアリティ(仮想現実)の中だけで繰り返し見聞きするこれらのことばは、われわれの幼少期から深く心に刻まれてなくならないものですが、この不思議なことばが誕生し普及した背景には、 本学の前身である華族女学校の学生たちのことばが関係しているとの説が有力です。 また、この種の言語現象をさらに深く考察して見えてくるのは、日本語の変遷史であり、近代文化史の問題であり、さらには物語り世界の構造論でもあり、ジェンダー等に関する現代のわれわれの社会心理の問題でもあります。
その他に、和歌、歌謡曲に見られる外来語や語種と語感の間題、 挨拶の日本人の人間関係、 世界観との関係などのトッピックも取りあげる予定です。学生の参加を求めつつ、講義形式で進めます。

伝統文化論Ⅰ(花)

今橋 理子 教授
 日本文化学科の「日本文化基礎科目群」に含まれる「伝統文化論Ⅰ~Ⅷ」の授業は、いずれも日本の伝統文化を理解するうえで、基礎的かつ重要なトピックスが提供されています。「基礎科目群」の授業は、学科や学年別の枠を超えて誰もが履修することができますので、特に1年生にとっては、各専門分野を学ぶための入門にもなり得るものです。
 「伝統文化Ⅰ(花)」の授業では、植物としての桜だけでなく、日本文化としての桜花の存在に注目し、その歴史や思想の営みを、現代における認識と対比しながら考えようとするものです。基本的には「文化史」の講義となりますが、考察の対象となるのは絵画や文学(和歌・俳諧)、また多くの生活文化や民俗学的資料の数々です。
 桜は古来日本において特別な意味を担い、人々に浸透してきた花です。おそらく現代日本人でも「桜の花が嫌い」という人は滅多にいないでしょう。歴史的には、とりわけ江戸時代は広く庶民にも桜は愛され、園芸・芸術・文学の分野のみならず、殖産興業や政治の手立てまでに活用されました。そして現代人でも桜は「日本固有の花」で「国花」だと信じている人が少なくありませんが、実はこれは、江戸時代に誤って広まってしまった言説が、近代日本を経て、さらに現代まで生きて残っている現象なのです。なぜにこのようなことが起きたのでしょうか――。豊かな文化的創造の源としての桜花は、日本人に多くの優れた芸術・文芸創造を齎しましたが、一方では太平洋戦争期における「国威発揚の象徴」という悲しい歴史も齎しました。そうした歴史を顧みつつ、桜花を愛する現代日本人の心の有り様を、再考したいと思います。
 なお本授業は、「比較文化論Ⅰ(比較日本文化)」(3年生以上が履修可能)と交替で隔年開講されますので、開講年度については学生便覧等で確認してください。

インターネット上のコミュニケーション

清水 將吾 准教授
 インターネット上にはニュース記事やブログ・SNSなどのテキスト(文章)が大量に溢れています。これらを分析することで、今までは見えなかった様々な人間のコミュニケーション活動が数値的に把握できるようになりました。例えば、製品のレビューサイトでは、個々の意見を集約することで全体としてどのような点が評価されているか・いないかを調べることができ、現在では多くのユーザや企業が活用しています。
 授業では、まず、基本的なテキスト分析手法について学びます。例えば、簡単な方法で、この文書にはどの単語がよく出現するといった頻度に関する情報や、この単語とあの単語はよく一緒に使われるといった語の共起関係を抽出することができます。その後、関心があるテーマについて、SNSなどのWeb上のテキストを使って学んだ手法を実践します。分析の結果からどのような発見ができるかはテーマ設定によって無数の可能性があります。

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詳細は大学案内パンフレットをご覧ください。

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