ジュネーヴ研修報告書(2022)

学習院女子大学第7回ジュネーヴ研修は2023年2月18日に始まりました。日本文化学科、国際コミュニケーション学科の学生、及び、国際文化交流研究科修士課程の大学院生がスイスに向けて出発しました。
01成田空港にて.JPG
ジュネーヴに到着すると、早速、国連欧州本部に足を運び、加盟国の旗がたなびく正門から敷地内に足を踏み入れました。
02加盟国の旗が並ぶ前で.JPG
パレ・デ・ナシオンと呼ばれている国連欧州本部のある敷地内を歩き、中心部の建物の前でも足を運びました。
03国連欧州本部の中心の建物の前で.JPG
建物の中ではカタール国家が寄贈したという斬新なデザインの会議場を見学しました。さらに、国連人権理事会の一部の会議がちょうど会期中で、会場の人権ホールを見学する機会に恵まれました。会議中の撮影は控えるように言われていましたので写真はありませんが、見学コーナーでもイヤホンを耳に当てて発言内容をライブで聴くことができ、臨場感を味わうことができました。
04カタール寄贈の会議場.JPG
続いて、WIPO(世界知的所有権機関)本部を訪問し、著作権管理課のモンルワ幸希さんにお目にかかりました。WIPOでは国内法整備にも力を入れており、加盟国の一部の国々に対しては法案作成まで行っているといったようなお仕事のお話のみならず、国際機関に勤務して感じたことなど、多岐にわたる大変有益なお話を伺いました。最上階の13階にもご案内下さり、レマン湖を中心とするジュネーヴの街並みを眺めましたが、晴天であったため、遠方のモンブランの山頂も目にすることができました。
05WIPO.JPG
その後、在ジュネーヴ国際機関日本政府代表部を訪問しました。工藤歩一等書記官より国際機関で働くことに関し、適性や方法等、包括的にご講義いただいた後、スイスでの暮らしも含めて様々な質問にお答えいただき、研修参加者は多くを学び取ることができました。
同代表部のホームページには以下のように紹介されています。
https://www.geneve-mission.emb-japan.go.jp/itpr_ja/event_20230220.html

06日本政府代表部.JPG

次にIOM(国際移住機関)本部に足を運びました。赤い窓枠と多数の加盟国の国章が印象的な正面玄関より中に入りました。
7 IOM(国際移住機関)の入り口にて.JPG

IOMでは3名もの方々よりブリーフィングを受けました。まず若手の職員よりIOMの概要を英語で詳しくご講義いただきました。
続いて、大野拓也さんより仮設住居建設に関するお話を伺いましたが、先日大きな地震が起きたトルコ南部でどのような支援が検討されているのかについても触れて下さいました。
さらにウクライナ担当官のMitch
Levineさんより、今まさにIOMがウクライナのみならず周辺国においても多岐にわたる支援事業を行っている様子を学ぶ貴重な機会となりました。

8 IOMでのブリーフィング光景.JPG
レストラン・エーデルワイスにてヨーデルの生演奏に耳を傾けながら、チーズ・フォンデュ、ミート・フォンデュ、チョコレート・フォンデュといったフォンデュづくしの夕食をとりました。食文化の面からもスイスを現場で体験する機会となりました。
9 チーズ・フォンデュの夕食.JPG

レマン湖に面する趣のある旧国際連盟本部(ウィルソン宮殿)の前も通りました。「1919年4月29日、パリ講和会議は満場一致でジュネーヴを国際連盟の本拠地に決めました」というプレートも目にして、まさにこの場所で国際連盟の歴史が始まったことを実感しました。
10 旧国際連盟本部(ウィルソン宮殿)の前を通って.JPG
晴天にも恵まれ、レマン湖畔を散策した際にはジュネーヴ名物の大噴水が豪快に噴き上げている様子も目にすることができました。
11 レマン湖にて噴き上げる大噴水を背景に.JPG
別の日に再度、国連欧州本部を訪問しました。同じ建物の中に国際連盟博物館が併設されており、こちらを見学しました。マルチラテラリズム(多国間主義)をキーワードに展示されている創設期の国際連盟の概要に関する説明を受けました。
12 国連博物館を見学して.JPG
国連博物館に隣接する国連図書館も見学しました。過去の研修でもお世話になったクリスティーナ・ジョルダーノさんよりデジタル化が進む図書館の概要を学び、歴史の感じられる書庫、並びに、ノルウェーの画家による「平和の夢」と称する壁一杯の絵画のあるホールにも案内されました。
13 国連図書館でのブリーフィング.JPG
ジュネーヴ大学文学部も訪問しました。立派な入口の扉より中に入り、東アジア研究学科日本学専攻の柴田亜矢子先生ご担当の日本語会話の授業3コマに参加しました。ジュネーヴ大学の学生たちにとって、10名もの日本からの学生たちに接する機会は初めてだったようで、生きた会話練習の場となりました。限られた時間での交流でしたが、インスタグラム等でその後も連絡を取り合うほどまで仲良くなりました。
14 ジュネーヴ大学文学部訪問.JPG
ジュネーヴ市内に長く在留するガイドさんより赤十字の創設者アンリ・デュナンの胸像、宗教改革記念碑、中世の街並みの残る丘の上の旧市街(サン・ピエール大聖堂ほか)、花時計などを丁寧に案内していただき、ジュネーヴの歴史の重みを感じ取ることができました。
15 ジュネーヴ市内の旧市街を散策.JPG
本研修では国際機関の現役の職員のみならず、定年退職された方々にもお会いしています。UNHCR、国連欧州本部、ITU、OECD、UNISDR(国連防災機関)、WIPOといった多様な国際機関での勤務経験のある小島晶子先生からは今回も国際機関の概要や役割、専門職の分類、国際機関勤務に必要な能力等、多岐にわたってご講演いただきました。
16 多数の国際機関で勤務経験のある小島晶子さんと一緒に.JPG
日曜日はスイス国鉄を乗り継いでフリブール州への日帰り旅行に出かけました。ブロ村に立地する老舗ブランドであるカイエの博物館での見学ツアーでは、スイスにおけるチョコレート生産の歴史を学び、試食コーナーでは何種類ものチョコレートの食べ比べをしました。
17 カイエのチョコレート博物館を見学して.JPG
続いてチーズで有名なグリュイエール町に移動しました。丘の上にそびえたつグリュイエール城を見学し、チーズをふんだんに使った料理を味わいました。
18 グリュイール駅付近のレストランにて.JPG

グローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)も訪問しました。
4名もの邦人職員(小松隆一さん、神田瑞穂さん、木場宣宏さん、佐々木さん)がご対応下さり、グローバルファンドが感染症の分野で目覚ましい成果を上げていると同時に、勤務環境の優れた国際機関であることも学ぶことができました。
19 グローバルファンド訪問.JPG
WHOのセッションも3名の第一線でご活躍の方々からお話を伺うことができ、大変充実したものとなりました。感染症の専門家で2020年春以降に時折、日本のNHKのニュース番組でもインタビューを受けられていた進藤奈邦子先生のブリーフィングを受ける機会にも恵まれ、世界全体の感染症の流れを俯瞰することができました。
20 WHOの進藤奈邦子先生によるブリーフィング.JPG
疾病分類を専門とされ、学習院女子中・高等科と学習院大学で学ばれた喜多眞彩さんと栄養・食品安全部に勤務されている湊夕起さんのブリーフィングも熱心に受講しました。この日にお話を伺ったWHOの3名の講師の方々と一緒に写真も撮らせていただきました。
21 WHOの進藤奈邦子先生、喜多眞彩さん、湊夕起さんと一緒に.JPG

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