中欧国際協力研修報告書(2025)

2025年の8月から9月にかけて第17回中欧国際協力研修が実施されました。研修先は先進国のオーストリアのみならず、他大学ではまず訪れないような旧ユーゴ並びに旧ソ連の国々や地域であり、本学独自の体験重視の海外研修となっています。

初日は国際文化交流学部の2~4年生が成田空港に集合して出発しました。

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オーストリアのウィーンでは世界遺産シェーンブルン宮殿の近くのホテルに到着し、一夜明けてヨーロッパで最初の朝食をしっかりとって現地での研修が始まりました。

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王宮の建物の一部となっているオーストリア国立図書館の壮麗な外観には圧倒されました。

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翌日にはウィーン国際センターを見学しました。
ガイドさんの説明を熱心に聴きながら敷地内を歩きました。

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隣接するオーストリア最大の会議・展示施設であるオーストリア・センターとウィーン国際センターとの位置関係について模型を見ながら説明を受けました。

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加盟国の旗が壁一面に大きく並べられているのを目にして国際機関を訪れていることを実感しました。

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IAEA(国際原子力機関)が2005年にノーベル平和賞を受賞したことに関する説明も受けました。

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ベルヴェデーレ宮殿の大理石の広間に入ったところで、ここで1955年にオーストリアの国家条約の調印がなされたという説明を受けました。

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クリムトの「接吻」、エゴン・シーレの「死と乙女」などの名画を鑑賞した後、宮殿内のカフェで一息つきました。

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夕方には国立オペラ座の中に入り、ウィーン・モーツァルト・オーケストラの生演奏を鑑賞しました。生誕200周年を迎えたヨハン・シュトラウスの『美しく青きドナウ』も音楽の都でじっくりと味わうことができました。

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土曜日の午前中にはナッシュマルクトの蚤の市で多民族が行き交って賑わっている様子を視察しました。

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夕方にはウィーンの森まで足を延ばし、本研修で初めてカーレンベルクの丘まで登りました。オスマン帝国軍による第二次ウィーン包囲に対してポーランド軍を中心とするキリスト教連合軍が1683年9月12日に反撃した際に犠牲になった5万人以上もの犠牲者を追悼する記念碑を前にして、数百年前の出来事に思いをはせました。

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見晴らしの良いカーレンベルクの展望台からドナウ川とその周辺に広がるウィーン市の景観を観察しました。

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2ヵ国目の北マケドニアでは最初に首都スコピエ市内のマザー・テレサ記念館を見学しました。この町で彼女が生まれてから亡くなった後のことまでを様々な展示品から学びました。

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北マケドニアでは南西部に足を運び、オフリド地域の自然遺産及び文化遺産として世界遺産に登録されているオフリド湖畔では聖カネオ教会を見下ろす絶景スポットで記念写真を撮りました。

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オフリド湖の北に立地するストゥルガ市内の小中学校の子供たちとの交流も13回目となりました。おそろいのTシャツを着ると自然と一体感が沸き上がります。

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4つのグループに分かれてストゥルガ市内の公園のゴミ拾いに精を出しました。

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夏休み期間中にもかかわらず、今年は20名を超える子供たちが集まってくれたため、賑やかなひと時となりました。

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奉仕活動でひと汗かいた後はリラックスした雰囲気の中で折り紙での交流をしました。

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3ヵ国目のセルビアでは首都ベオグラード市の中心部で1999年にNATOによって空爆され、未だに改修されずに残されている痛ましい建物を視察しました。20世紀も末になってからヨーロッパの中で空爆された場所があるという事実には考えさせられました。

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在セルビア日本大使館の北島専門調査員には国会議事堂を始めとするベオグラード市内の重要な建築物を丁寧に案内していただき、社会主義時代とユーゴスラヴィア王国時代の様々な建築物が市内には残され、独特の雰囲気が醸し出されているのを感じ取りました。

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近代セルビアの名君として知られるミハイロ・オブレノヴィッチ3世の騎馬像と国立博物館の建物が印象的な共和国広場にも足を踏み入れました。

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JICAバルカン事務所では山下次長より西バルカン6ヵ国に対する支援としてはどのような事業がなされているのか、具体的な取り組みを詳しくお教えいただき、質疑応答もなされました。

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その後、障碍者支援に携わるNGO Živimo Zajedno(Living Together)を訪問しました。スタッフの方々と海外協力隊員のお話を伺った後、入所者の方々と一緒に踊ったりして楽しく過ごしました。

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4ヵ国目のモルドヴァ共和国では首都キシナウ市の中心部にてパイやサルマーレ(ロールキャベツ)などの地元料理で有名なチェーン店で現地の青年と一緒に夕食をとりました。

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ニストル(ドニエストル)川沿いのコチエリ村では日曜日にもかかわらず、先生方が校内を案内して下さいました。1992年のトランスニストリア(沿ドニエストル)紛争で多大な被害を受けたものの、少しずつ校舎は再建され、綺麗になっていたことが印象に残りました。

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校舎の中の博物館のコーナーではモルドヴァの伝統的で豊かな民芸品が所狭しと並んでいました。

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手作りのしおりをプレゼントとして頂戴しました。

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緑豊かな校庭で一緒に写真を撮りました。

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コチエリ村の北にあるモロヴァタ・ノウア村では農民博物館を見学しました。 荒れ果てていた農家をいかに美しく再現したのかを館長のイオン・シュテファニツァさんが熱心に説明して下さいました。

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伝統的で豊かな刺繍が施された農家の寝具と寝室の内装は見事なものでした。

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ヨーロッパ東部では絨毯は床だけでなく、壁にも掛けられていることが良くあります。

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近くを流れるニストル(ドニエストル)川は湾曲しており、美しい景色が広がっていました。

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首都キシナウ市近郊のクリコヴァでは地下の広大なワインの貯蔵庫を見学しました。

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ニストル川の支流のラウトゥ川が大きく蛇行する高台の上に岩窟修道院があることで知られるオルヘイウル・ヴェキ考古学遺跡群を丘の上から見下ろす機会もありました。

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カザネシュティ村の小学校はちょうど入学式の日でしたが、今年も子供たちがお花を一人一人に渡し、大きなパンと塩とで温かく迎えてくれました。

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まずは年長者から浴衣を着せてあげました。

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子どもたちは書道にも興味津々で、一人ひとり漢字で名前を書いてあげました。

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折り紙には男の子たちも熱心に取り組んでいました。

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講堂のいくつものテーブルで書道や折り紙が行われ、大いに盛り上がりました。

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5ヵ国目のクロアチア共和国では首都ザグレブ市の中央駅のそばに設置されたホロコースト記念碑を視察しました。「この場所から約800名のザグレブのユダヤ人が1942年にアウシュヴィッツ収容所に移送された」との説明文と高く積み上げられたスーツケースのモニュメントを目にするといたたまれない気持ちになりました。

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ネクタイブランド「クロアタ」本店ではクロアチアがネクタイ発祥の地となった物語を説明されました。

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赤いパラソルが印象的な屋外のドラツ市場では蜂蜜の試食をしました。

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産地直売で大小さまざまで多様な種類の蜂蜜が売られていることを知る様子を目にしました。

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クロアチア特産のラヴェンダーにも立ち寄りました。

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香りをかいでラヴェンダーの味わいを嗅覚で味わいました。

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在クロアチア日本大使館の建物の前で写真を撮りました。同大使館では和田大使と船木専門調査員よりクロアチアの立ち位置や二国間関係などに関するお話を伺い、質疑応答も活発になされました。

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一昨年と昨年に引き続き、今年もザグレブから南東方向に進んで1時間ほどのところにあるペトリニヤ市の「マト・ロヴラク」小学校を訪問しました。昨夏に同校に置いてきた浴衣が綺麗に机の上に並べられており、こちらでも子供たちに浴衣を着せてあげました。

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クロアチアの子供たちにとって浴衣を身につけてみた時の感触はやはり新鮮なものだったようです。

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14名もの子供たちが浴衣を着て、教室内には華やかな雰囲気になりました。

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クロアチアの子どもたちも自らの名前を伝えて、漢字で半紙に氏名を記してもらいました。

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別のテーブルでは様々な折り紙が次々と作られていきました。

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浴衣のままの子供たちに折り方を手取り足取り教えてあげました。

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ペトリニヤ市は陶芸も盛んな地域ですが、地元の工房で陶芸を試す機会もありました。両手で粘土を押さえて足でろくろを回すというのは初めての体験となりました。

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5ヵ国に渡る研修も無事に終わり、全員が揃って帰国しました。

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