国際コミュニケーション学科の授業紹介

国際コミュニケーション学科で行われている授業の一例をご紹介します。

文化交流としての文化遺産

ウーゴ・ミズコ 教授
人類の様々な交流によって形成された文化遺産をどのように見極め、 持続可能な開発の実現を目指す。

みなさんは文化遺産と聞いて、どのようなことを考えるでしょうか。それらは慎重な取扱いを要する貴重なモノなのでしょうか。伊勢神宮のような著名な宗教建築と、毎年ご家族で初詣に訪れている地元の神社とでは、どちらに価値があると思いますか。将来の人々のために遺しておきたいと思うのは、どちらでしょうか。実は、どちらも私たちの文化、アイデンティティーを体現しており、私たちの生きる力になる重要なモノです。考えてみれば、私たちに遺されてきたモノ、表現されたワザは多様であり、また、多岐に亘っています。しかし、それでもすでに失われてしまったモノも少なくありません。それは、それぞれの時代や社会が様々な目的と基準で次世代に遺すべきモノを決めてきたからです。翻って私たちは、どのようなモノを遺すべきでしょうか。それらをどのように利用し、活かすべきでしょうか。授業では、以上のような問題を念頭に文化遺産の理解を深めながら、その背景にある知識の交流や文化遺産が可能にした多くの物語を読み解いていきます。
文化遺産をコミュニケーションツールとして、世界の国々へアプローチし、文化と歴史と社会の理解を深めてほしいと思います。

東南アジア史・地域研究

北川 香子 教授
東南アジア地域の国々、人々の生活・文化のありようを歴史的に研究
東南アジア研究をしていると言うと、しばしば、珍しいことをしているんですね、という反応が返ってきます。世界のなかで比べてみると、東南アジアと日本の距離はとても近いのに、です。実は、東南アジアと日本の基層文化には、共通する要素がたくさん見られます。その後の歴史のなかでも、東南アジアと日本は重要な関係を持ってきました。それなのに、とても不思議なことに、日本の人々が東南アジアに知的な関心を持つことは稀でした。
20世紀の終わりころから、魅力的な観光地として、東南アジアを訪れる人々が増えました。さらに近年、東南アジアの国々の経済は著しく成長し、今度は東南アジアの人々が、観光のために日本を訪れるようになってきています。私は、歴史を学ぶことは、敬意を持って人と接するための第一歩だと考えています。だからこそ、東南アジアの歴史・文化に関する教養は、これからの国際社会のなかで生きていくために必要なものであると思います。
そしてもう一つ、歴史学研究の対象や方法にしばりはありません。誰も気がつかなかった何かに気づき、それを世に示し、その意味を問うための工夫はとても楽しいものです。ぜひ皆さんの感性で、新しい東南アジアの魅力を見つけ、教えて欲しいと思います。

国際政治と情報戦略 - 21世紀の難問に備えて

畠山 圭一 教授
 各国の歴史・文化・政治を分析し、現代の国際情勢をとらえ、近未来の世界の動きを予測する。

畠山ゼミは、国際社会と日本の将来を真剣に学ぶ場です。ゼミ生一人一人が日本や世界の将来へのあふれる使命感を持って、世界の動きを真剣なまなざしで見つめています。今日、世界の動きを無視して私たちの生活は成り立たず、私たちの衣・食も経済活動も自然環境も国際社会の動きに左右されます。一国の盛衰も国際社会の動きに決定的な影響を受け、国家戦略の誤りが国家存亡の危機をもたらすこともあります。60年前、日本もそうした事態に直面しました。国の行く末を真剣に考える者にとって国際社会の理解は不可欠なのです。
国際政治は実験が不可能な学問です。各国の情報を集め、歴史的事実を検証し、さまざまな事象が起こった原因を探る必要があります。ところが、高度情報化時代の今日、私たちはさまざまなデーターを瞬時に獲得できるようになりましたが、データ-が多い分だけ情報処理・分析は困難になり、情報の質も低下する可能性が高く、かえってコミュニケーションや相互理解を妨げかねなくなっています。そのため、今まで以上に相手のもつ固有の歴史、文化、伝統や政治・経済・社会を深く理解し、「相手の偏見や誤解を解消し、自らの意思を適切に相手に受容させる」発信能力と「状況を正しく把握し、相手の意思を深く洞察する」受信能力の向上を図ることが必要となっているのです。
このゼミでは、諸国、諸民族の歴史、文化、伝統を比較検討し、国際文化交流の担い手に必要な国際コミュニケーションおよび異文化理解に関する広い視野と深い洞察力を養います。教科書を読むだけではなく、考えることを重視し、考えることから本質に迫ることをめざします。

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詳細は大学案内パンフレットをご覧ください。

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