2024年11月30日開催「三島由紀夫とドナルド・キーン展特別講演会&ビブリオバトル」実施報告
2024年11月30日(土)に本学2号館236教室におきまして、同文化交流ギャラリーで開催中の2024年度学芸員課程博物館実習(II A履修生、指導教員:牧野元紀教授)による「三島由紀夫とドナルド・キーン―素晴らしき出会いから70年」展を記念してのキーン誠己氏による特別講演会と実習学生4名によるビブリオバトルが開催されました。当日は学内外から50名以上の来場者があり大いに盛り上がりました。
本年は三島由紀夫とドナルド・キーンが知り合って70年となる記念の年にあたります。二人の出会いは1954年11月、三島29歳、キーン32歳のときでした。以来、両者は生涯の友として親交を深めました。彼らは日本と西洋の古典文学に深い造詣を有すると同時に、現代文学の国際性と普遍性にも強い関心を抱いていました。互いに多くの議論を重ね、キーンは三島作品の多くを世界に紹介しました。彼らの揺るぎのない信頼関係は、三島が自決の直前にキーンへ手紙を書き残したことからもうかがえます。 三島の訃報にふれたキーンは、「私は無二の親友を失い、世界は偉大な作家を失った」と悲歎しました。しかし、キーンの心のなかで三島がその後も生き続けたことはその文学批評や証言の数々から明らかです。本展はこの二人の友情に焦点を当てながら、令和の今日もなお三島作品の持つ魅力に迫るものです。展示はドナルド・キーン記念財団および三島の母校である学習院の所蔵資料(学習院大学図書館、輔仁会雑誌編集委員会)から構成されています。
キーン誠己氏には、ご自身の生い立ち、父ドナルド・キーンとの出会い、ドナルド・キーンの日本文学者としての歩み、そして三島由紀夫との親交を数々の知られざる秘話を著書や写真の紹介をまじえて1時間程度お話頂きました。講演後、フロアの方々との間では専門的で内容の濃い質疑応答がなされました。
キーン誠己氏講演
講演後、しばしの休憩をはさんで、ビブリオバトルが開催されました。実習生4年生の4人が夏休み期間に読了したお薦めの三島作品(『命売ります』、『禁色』、『沈める滝』、『美しい星』)の魅力を限られた時間内で熱く語ってくれました。どの作品を読んでみたいかということで、フロアの皆さんによる挙手で順位が決定しました。『美しい星』を薦めた学生が優勝し、賞品としてキーン誠己氏より、ドナルド・キーン『日本を寿ぐ』(新潮選書)のキーン誠己氏サイン入り本が贈呈されました。展覧会は12月20日(金)まで好評開催中です。ぜひお運びください。
ビブリオバトルの講評
イベント後の集合写真