5月19日(金) 「特別総合科目Ⅸ(フードコンシャスネス論1)」(品川 明教授担当)のご報告
5月19日(金)「特別総合科目Ⅸ(フードコンシャスネス論1)」(品川 明教授担当)において、早稲田大学 先進理工学部 化学・生命科学科 中尾洋一教授に「食と遺伝子(のスイッチ)」と題して講義を頂きました。
講義の内容は主に以下の項目から構成されていました。
- 遺伝子のスイッチとは
- DNAの化学修飾(メチル化)とヒストン修飾(メチル化、アセチル化)
- 幹細胞と幹細胞を使った化学物質のリスク評価
講義は遺伝子のスイッチとは何か(クロマチン構造とヌクレオソーム)から始まり、DNAの化学修飾(メチル化)とヒストン修飾(メチル化、アセチル化)がDNAのオンとオフに関係することが解説されました。
中尾教授の研究は、「日本食の成分は薬と違って効果が穏やかなものが多く、されにこれらの成分の作用の重ね合わせとして初めて効果が表れるケースも多いため、その作用の検出・評価が非常に難しい。これらの穏やかな生理活性をもつ成分の影響を感度よく検出する評価系の確立が重要である」、つまり食物が身体によいというアナログ的表現が多いが、それを科学的分析手法を通じてデジタル化することはできるだろうかという問題意識でスタートされました。
研究事例のひとつとして、エピゲノムをキーワードとして日本食の特徴的食材である発酵食品(味噌・醤油)や水産物による抗ストレス効果の評価分析に触れられましたが、大変興味深いテーマでした。
フードコンシャスネスの活動内容の基盤に、食とDNAの理解という新たな切り口が提起された講座でありました。(記事:楠野)